町の特産品、ブドウのおいしい季節となりました。近年は、秩父のオリジナルブランド「ちちぶ山ルビー」に加え、「シャインマスカット」が特に人気のようです。先日のニュースでも、2022年産ブドウの品種別作付面積で、シャインマスカットが初めて巨峰やデラウェアを抜いて首位に立ったとの記事を目にしました。そこで今回は、今年度、県の支援を受けシャインマスカットの雨よけ施設を導入する秩父ぶどう皆野観光組合の組合員、「くりやぜ園」の久保明弘さん、「かわご園」の浅見寿太郎さんを訪問し、お話を伺いました。
久保さんは、2代目として20年。既にベテランの域と思いましたが、ご本人からは「20年といっても、育てた回数は20回。まだまだ経験不足です。2代目として今もプレッシャーを感じています。」とのお話がありました。ブドウ栽培の奥深さを感じるとともに、その真摯な姿勢に心を打たれました。自らブドウ農家を継ぐことを決意した際、その意思を、今は亡き父、清さんに告げる前に会社を退職し、退路を断ったとのこと。「父には相当怒られました。」と笑顔の久保さん。今では大切な思い出のようです。また、「現在の主流は、種無しで、皮ごと食べられる品種。/ブドウはどの品種も最初は緑色。シャインマスカットは最後まで緑色なので、巨峰のように色付きを心配する必要がない。/おいしいブドウに育てるには、概ね一粒に葉が一枚となるように間引く」など、熱心に色々と教えていただきました。
浅見さんは、久保さんが師と仰ぐ、ブドウ栽培の生き字引です。こだわりは、大豆かす、油かす、鶏糞などの有機肥料のみを使用していること。除草剤も使いません。ですが、それをPRする張り紙などは、お店のどこを見回してもありません。内に秘めたブドウへの自信と誇りを感じました。既に、次男の和文さんが後継ぎとして活躍されており、心強い限りです。
ブドウは、雨に濡れると病気にかかりやすくなるそうです。今回、雨よけ施設が整備されることで、高品質なシャインマスカットが、より安定的に栽培できるようになります。他のブドウ農家さんも雨よけを設置するなど、それぞれに工夫を凝らし、手塩にかけてブドウを育てています。今年は、糖度、形、着色ともに上質な仕上がりとのこと。町民の皆様にもぜひご賞味いただき、町の自慢の逸品を広くご紹介いただきたいと思います。