平成30年11月14日(水)県民の日に埼玉会館で「平成30年度県民の日記念式典」が開催されました。
式典では、県民の日記念作文コンクールの入賞者が表彰されました。
テーマの「わたしが思う埼玉県の魅力」において、東秩父村立東秩父中学校3年の百瀬澄昭(ももせすみあき)さんが最優秀賞を受賞されました。おめでとうございます。
この作品は、秩父音頭や秩父音頭まつりなど、さまざまな当町の魅力について取り上げていただいておりますので町ホームページで紹介いたします。
是非ご一読ください。
受賞者:東秩父村立東秩父中学校 3年 百瀬 澄昭
作品名:『正調秩父音頭の輪の中で』
「はい右~、左~、チョンチョンチョン。」
正調秩父音頭講習生の僕たちは、先生の声に合わせて何度も何度も、同じ動きを繰り返し練習します。小・中学校で習った踊り方は、「なんとなくマネをする」感じでしたが、「正調」は指先や腕の位置、目線にまで意識を集中させるため、僕が経験してきた踊りとはまるで別物のようにキレイな動きでした。
この講習会は、毎月1回全10回のコースで母と二人、皆野町文化会館へ通いました。最初の頃は、知らない人ばかりの「ジジババ軍団」の中に中学生は僕ひとりという状況が恥ずかしくて嫌に思うこともありました。でも、「僕、上手ねー。」、「手先がキレイよ~。」とほめられたり、「夜の峠道は気をつけてね。」と声をかけられたりするうちに、会うのが楽しみな「ジジ友」「ババ友」になっていきました。雪が降った峠道は危険なので休んだことがありました。次回までの1か月がとても長く感じ、皆さんと久しぶりに会えたときとても嬉しかったです。
指導して下さった講師の先生方、一緒に頑張った仲間の皆さんのおかげで無事に「修了証」をいただくことができました。
これで「めでたし、めでたし~」で終わるかと思っていたら続きがありました。「第50回秩父音頭まつり」に「秩父音頭講習会修了者チーム」の一員として参加、出場することになっていたのです。半信半疑でおりましたが、「澄~、おそろいの浴衣だよー。」と、母が嬉しそうに広げて見せてくれました。僕はよくわからないけど「僕は着ないよ!」と言ってしまいました。母は少し間を置いて、「そう…。わかった。」と言いました。
いよいよ当日の8月14日。和装着装師の祖母も連れた母と僕の3人は、集合時間よりも少し早めに会場に入りました。母の着替えを済ませて集合場所の控え室に向かううちに、僕も浴衣を着たくなりました。突然の僕の言葉でしたが、早速、着替えが始まりました。
お借りしている浴衣は大人用なので、やせている僕には長過ぎる帯を締めるのは、とても難しそうでした。予定していなかったことなので、着付け用のヒモも足袋もありません。すると、同じ部屋にいた人たちが、皆して僕の支度を手伝ってくれました。初めて会う人ばかりなのに、「講習の修了者なら同じチームの仲間だもの。」、「楽しく踊りましょう。」と笑顔で声をかけてくれました。僕は、なんてかっこいい人たちなんだと思いました。
おそろいの浴衣で、お立ち台へと続くスタート地点。街全体がお祭りの熱気に包まれて、僕たちの他にもたくさんのチームが整列していました。ドキドキしてきたとき、一緒に練習してきたジジ友が声をかけてくれて安心しました。教わってきたことを思い出すため、心の中で「はい、右~、…。」のかけ声を唱えながら一生懸命に踊りました。街中の移動中、24時間テレビで視た新井先生と母のフェイスブック友だちの高橋さんに会いました。高橋さんは母が中学生だったときの担任の先生の息子さんで、新井先生はその当時、東秩父中に勤務していたそうです。母たちの周りだけタイムスリップしているような不思議なあたたかさでした。
ついにお立ち台へ到着。たくさんのちょうちんに灯された会場は、とてもキレイで迫力があって、たくさんの人たちの力や思いを感じました。「正調秩父音頭」をテーマに、これだけの大きなイベントが開かれ、東秩父村に住んでいる僕たちも一緒に、仲間になれたことが、とても嬉しかったです。そして、仲間になっていくために、丁寧に、優しく指導して下さった講師の先生方、支度を手伝って下さった方々、家族、皆に感謝です。今度は僕も、「正調秩父音頭」を誰かに教えてあげたいと思いました。最高のお祭りありがとう。