歌舞伎俳優・坂東玉三郎さんが、こんなお話をされていました。「努力しなければ絶対に成功しない。努力の方法は教えることはできない。そして最初は非効率な努力も、重ねることで、効率の良いものになっていく。でも早くはならない。」
この「努力の効率」という言葉。私は、“物事に対する嗅覚が養われ、目鼻が利くようになる”ことだと解釈しました。そしてそれは、誰かに教えられて覚えるものではなく、自らの経験を通して身に着けていくものだと考えています。「前向きな失敗は大歓迎」日頃、職員に伝えている言葉です。
考えさせられたのは、「早くはならない」という一言。効率が良くなるのであれば早くなるのではないか。そう思いましたが、おそらく、結果を急ぐことの危うさを伝えたかったのではないかと思います。
経験を重ねてこそ、本質を見極める力が育ち、その熟成には時間がかかる。焦らず積み重ねることが、確かな成長につながるのだと感じました。
まちづくりも同じです。私は、人口減少という大きな課題の中にあっても、3つの力でまちづくりのエネルギーを生み出していけると考えています。
町の外側から関わる「関係人口」、町の内側から行動を起こす「活動人口」、そして豊かな知恵と経験をもつ「高齢者」。この3つの力がつながり、努力(チャレンジ)を重ね、効率を高めていく。しかし、結果を急ぐことなく、確かな成長に向けてコツコツと。
結果が出るのは5年後、10年後かもしれません。けれども、そこに向かってチャレンジを続ける大人たちの姿を、次の世代を担う子どもたちに示していく。そのことも立派なまちづくりだと思います。
子どもたちに、かっこいい大人の姿を見せていきたいですね。