2018年1月31日
こんな詩を紹介してくれた先生がいます。いろいろ考えさせられます。紹介します。
便所掃除 濱口國雄
扉をあけます
頭のしんまでくさくなります
まともに見ることが出来ません
神経までしびれる悲しいよごしかたです
澄んだ夜明けの空気もくさくします
掃除がいっぺんにいやになります
むかつくようなババ糞がかけてあります
どうして落着いてしてくれないのでしょう
けつの穴でも曲がっているのでしょう
それともよっぽどあわてたのでしょう
おこったところで美しくなりません
美しくするのが僕らの務めです
美しい世の中もこんな処から出発するのでしょう
くちびるを噛みしめ戸のさんに足をかけます
静かに水を流します
ババ糞におそるおそる箒をあてます
ポトンポトン便壺に落ちます
ガス弾が鼻の頭で破裂したほど苦しい空気が発散します
落とすたびに糞がはね上がって弱ります
かわいた糞はなかなかとれません
たわしに砂をつけます
手を突き入れて磨きます
汚水が顔にかかります
くちびるにもつきます
そんな事にかまっていられません
ゴリゴリ美しくするのが目的です
その手でエロ文ぬりつけた糞も落とします
大きな性器も落とします
朝風が壺から顔をなぜ上げます
心も糞になれて来ます
水を流します
心にしみた臭みを流すほど流します
雑巾でふきます
キンカクシのうらまで丁寧にふきます
社会悪をふきとる思いで力いっぱいふきます
もう一度水をかけます
雑巾で仕上げをいたします
クレゾール液をまきます
白い乳液から新鮮な一瞬が流れます
静かなうれしい気持ちですわってみます
朝の光が便器に反射します
クレゾール液が糞壺の中から七色の光で照らします
便所を美しくする娘は
美しい子供をうむといった母を思い出します
僕は男です
美しい妻に会えるかも知れません